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​猫のページ

きじ猫

     陰刻(木版)

豹のようにしなやかで

ビロードよりもなめらかで

20歳まで生きたtorago

その感触はいまだこの手に、

​そして心に。

​街角の金眼銀目
​                   水彩 (52x42cm)


夜更けになると時おり現れる白い猫

街角のいしだたみの上にたたずみ
片方は金、もう一方は青い目を一瞬光らせる。

通りの向こうを過ぎるけたたましいサイレンの音にも
微動だにしない。
マフラーを外した若者の車が騒音をまき散らして行っても
一べつもしない。
どぶねずみがちょろちょろ顔を出しても
見向きすらしない。

毎回のことだが
角の向こうに、界隈のノラ猫どもが数匹集まり、
だれがあのキンメギンメに
ご挨拶に行くか?
お前が行け、やれ、おまえだ。

いつもの終わらないやりとりが続き、
だれもが気づいたころには
金眼銀眼の姿はすでに消えている。

今日もらわれてきた子猫
​       陰刻(木版) 45 x 30㎝


お母さん猫から引き離されて
今日、もらわれてきた子猫。

どうしたの?
声ひとつ出さないで。

そう、
不安で不安で胸がいっぱいなのね。

版木から躍り出たネコ
​             陰刻(木版)

版木の世界から
つい飛び出してしまったネコ
さあ、
もう戻れない

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